松尾芭蕉と曾良は元禄2年4月4日(陽暦5月22日、1689年)に浄法寺図書(俳号桃雪)に招かれた。「おくのほそ道」によれば、「黒羽の館代浄法寺何がしの方に音信る、思いがけぬあるじの悦び、日夜語つづけて云々」とある。一族をあげて歓待したのでずい分居心地がよかったのだろうか、黒羽で十三泊、あしかけ十四日の長逗留であった。とりわけ桃雪邸には八泊した。芭蕉句碑めぐり「山も庭も 動き入るるや 夏座敷」ダイナミックなタッチで、黒羽の山河と浄法寺家の庭園の美しさを絵画的に表した句です。現在残っている旧浄法寺邸は、芭蕉が逗留した建物ではありませんが、武家屋敷の趣を多分に残し、当時の雰囲気を味わうことができます。